歯石が口臭の原因に?臭いの原因となる歯石を取るメリットと歯石を溜めない予防法

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皆さんは歯石(しせき)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

歯石というものは歯磨きをしても取れなくなったもので、歯垢(しこう)といわれる柔らかい磨き残しが石のように硬く固まってしまったものです。

歯石は口臭の原因にもなりますし、様々な悪影響を及ぼします。

今回は歯石を取るメリットや、歯石を予防する方法も大切なので紹介していきましょう。

歯石が口臭の原因になる理由5選

それでは早速、歯石が口臭の原因になる理由を5つ説明していきます。具体的にどのようなことが起きて口臭を引き起こすのかも詳しく掘り下げて説明していきますね。

歯石に溜まった細菌が臭いの原因になるから

口の中の細菌は特有のガスを発生します。しかも歯石は歯と違ってザラザラしているため磨き残しや歯垢が溜まりやすく、より一層細菌が増殖しやすい環境になります。

そのような環境は細菌が繁殖する上で絶好の住処になりますから、活発に「硫化水素」や「メチルメルカプタン」などのガスを発生します。

腐敗臭や腐った卵のような口臭を放つ原因になります。

歯石が溜まると歯茎から血が出るから

魚も食べてないのに何だか口が生臭く感じる場合は、歯石や歯垢の沈着により歯茎が腫れて出血していることが原因です。

歯石や歯垢が沈着しやすい歯と歯茎の境目から出血しやすくなり、炎症を起こした歯茎が刺激され出血してくるわけです。

歯茎に歯石が溜まると膿ができるから

細菌の住処となった歯石が付いた歯茎の周辺は目に見えない戦場になっています。

歯石という異物を排除しようと白血球などの免疫物質が活発に細菌と戦っているのです。その結果、歯茎が腫れてくるわけですね。

膿は細菌と頑張って戦った白血球の残骸や、戦に敗れた細菌です。これらが口臭となって悪臭を生み出しているわけです。

歯垢が溜まって臭いの原因になるから

歯石は歯垢が石のように硬くなったものですが、表面がザラザラ凸凹しています。そんな歯石には、更に磨き残しや歯垢が付着しやすくなります。

この積み重ねで歯石はどんどん分厚くなるだけでなく範囲を広めていき、いくら歯磨きをしようとも歯垢が残りやすくなります。

こうなり始めると、ブラッシングだけでは口腔ケアが難しくなります。勿論歯垢も細菌の住処となりますから、口臭の原因となります。

歯周病が進み臭いの原因になるから

歯周病とは、歯茎が表面的に腫れるだけの歯肉炎とは異なり歯と歯茎の間に細菌が繁殖し歯茎の中の方まで感染していく病気です。

初期の段階では歯茎が腫れる程度ですが、更に進むと歯茎からの出血や口臭が酷くなり、歯を支える骨さえも溶かし始めます。

放置すれば歯茎に隠れてるはずの根がどんどん露出してきて歯茎も下がり、だんだん歯がグラグラしてきます。

この時によく勘違いされるのが「歯が長くなった」という方がいますが、実は歯茎が下がってきているのです。

因みに、歯周病により下がった歯茎や溶かされた歯を支える骨は一生元には戻りません。

どんどん進行すれば最終的には歯は抜け落ちます。全く虫歯がない綺麗な歯だとしてもです。

歯周病患者は単に歯石がついているだけの人に比べ、かなりきつい口臭を発生します。

歯石を取ると口臭対策以外にもこんなメリットが

次に、歯石を取ることで防げることを紹介しましょう。歯石を綺麗に取ってもらうことで、口臭を予防するだけではなく、口腔ケアにおいてのメリットもいくつかあります。それを是非知っておいて頂きたいです。

歯周病の予防

上記のように歯周病は歯茎の中でジワジワと進む非常に怖い病気だと理解して頂いたと思いますが、歯石を定期的に除去することで歯周病の予防にも繋がります。

日本人の約8割は歯周病を持っているとされていますが、軽度~重度まで様々です。

しかしながら下がってしまった歯茎や溶けた骨は戻らなくとも、食い止めることは出来るのです。

定期的に歯石を除去している中程度や重度の歯周病患者でも、あれだけグラグラしていた歯の動きが止まったという患者は沢山いるのです。

このように歯周病は悪化していくと歯を支える骨をどんどん溶かしてしまい、最悪の場合には歯がグラグラして抜け落ちてしまいますが早めのケアしだいでは止めることができますから「抜いてしまえばいいや」の考えは勿体ないです。

歯茎が引き締まり強くなる

上記の内容に関連しますが、中程度や重度の歯周病患者でも歯のグラつきを食い止めるには歯茎の引き締まりが大きく関わってきます。

歯石と歯垢だらけのブヨブヨの歯茎では、歯を支えることは困難です。ただでさえ歯を支える骨が溶けて減っているのにブヨブヨの歯茎では…当然の結果ですよね。

しかし歯石を除去し歯茎の腫れを抑え引き締めれば良い結果に繋がるので、治療は早ければ早い方がいいです。

歯が白くなり綺麗に見える

歯垢の段階では白いのですが、歯垢が固まり歯石になると黄色っぽい色になり古くなればなるほど褐色化します。

最初は歯と歯茎の境目に、うっすらと沈着していたものが範囲も広く厚みも出てくると歯の色も悪く見せます。

よく歯石のせいだと気づかずにホワイトニングを希望する方がいますが、歯石を綺麗に取ってみたら真っ白で綺麗な歯が露になり本人も驚いている場合が多々あります。

「自分の歯が、こんなに綺麗だったとは」と。このように若い方は特に歯石が沈着しているだけで虫歯は一切なしという方もいらっしゃいます。

歯の黄ばみはホワイトニングではなく歯石除去で取れる場合が多々ありますから、黄ばみが気になる方も歯科医院で診て貰うと良いでしょう。

歯磨きの時などに歯茎からの出血を抑えられる

歯磨きをする度に出血があると、腐敗臭や血生臭いが嫌ですよね。何より口の中や歯ブラシが血だらけになり不快でしょう。

歯石が原因で歯茎がパンパンに腫れていると、歯科医院で歯石を取ることで一時的に歯茎から出血する場合があります。

しかしそれは細菌の死骸が混じった膿混じりの血なので、出してあげなければいけない悪い血です。

それが出て落ち着くと歯茎がギュッと引き締まり出血がなくなります。

かといって知識のない素人が歯茎から無理矢理出血させたり、磨いても取れない歯石をゴシゴシ擦るのは絶対にやめましょう。

歯茎が擦り切れて深い傷になってしまうので危険なのです。正しい方法で国家資格のある歯科衛生士に歯石を除去してもらい、正しいブラッシングを学ぶ必要があります。

今日から始める!自分でできる歯石を溜めない方法

歯石が分厚く沈着してしまったり、うっすらでも歯垢が固まってしまったものは残念ながら歯ブラシでは取れません。

しかし歯石を綺麗に除去した後、その後の歯石の沈着を予防する方法がいくつかありますから紹介しましょう。

歯磨きやデンタルフロスで歯石の原因となる食べかすを除去

食べカスは、約1時間もすれば柔らかい歯垢になります。更にいうと、歯垢は約2日で歯石になります。

歯垢や歯石は目で見える範囲だけではなく、歯と歯の間にも付きますから見落としてはなりません。

歯ブラシだけでは絶対に磨き切れない場所ですから、デンタルフロスといわれる糸状の用品を使い歯垢を取りましょう。

歯と歯の間が広く、デンタルフロスではスカスカの状態の方は歯間ブラシという細い歯と歯の間用のブラシもあります。

デンタルフロスも歯間ブラシも太さやサイズがありますので、必ずピッタリの物を選びましょう。

サイズが合っていないものを無理に通せば歯茎が傷になってしまいます。

メーカーによりサイズが違いますが、歯科医院には必ず置いてますからサイズを合わせてくれます。

歯並びを整える

歯並びが悪いというのも歯石が沈着しやすくなります。

なぜなら、歯が斜めになっていたり隣の歯と重なるように生えているとブラシが届きにくく磨き残しができやすいからです。

子供や大人になってからでも歯の矯正治療は可能ですから、歯並びを整えることで口腔ケアをしやすい状態にすることを視野に入れるのも良いでしょう。

歯科矯正治療の本当の目的は、しっかり噛めるようにする為ですが見た目だけでなく口腔内清掃をしやすくするのも大事な目的です。

正しい歯磨き方法で出血の少ない歯茎を育てる

少し触れるだけで出血するような弱々しい歯茎は良くありません。歯垢や歯石が積み重なり更に悪い環境となるだけでなく、自分自信も不快です。

出血の原因は歯石や歯垢によるものだけではなく、誤ったブラッシングにより歯茎が傷つき擦り切れることで起こる出血もあります。

過剰なブラッシングの圧力やブラシを当てる位置は非常に大事で、いくら時間をかけても当てるべき場所にブラシを当てられてないのでは意味がありません。

歯磨きを時間かけてしているのに、何故だかヒリヒリして出血してくる又は歯茎が腫れてるという方は歯科医院に相談しましょう。

歯の表面にできている傷を修復する

歯科医院で国家資格のある歯科衛生士が行うPMTCという方法で、歯の表面に付着した着色を落としたり表面の傷を滑らかにして歯をツルツルにすることが可能です。

歯石を取ることも同様に国家資格のない歯科助手がやることは法で禁止されていますから、必ず歯科衛生士が行います。

これにも見極めの目や熟練の技が必要で、過度に行えば歯の組織を傷つけて知覚過敏症を引き起こす場合がありますから信頼のおける歯科医院で必ず行いましょう。

歯石の付きにくい歯磨き粉を利用する

市販の歯磨き粉も色々で、明らかに舌で舐めてザラザラする歯磨き粉もありますよね。

つまり、粒が荒いということになりますから長い積み重ねで歯の表面を傷つけるだけでなく荒い粒子が歯茎の隙間に入り込み取れなくなって歯茎にも悪影響を与えます。

歯磨き粉を選ぶ際には、歯を強くする成分が入っているかどうかと粒子の細かさも重要です。

舌で舐めてもザラザラしないような、滑らかなペーストが好ましいです。歯科医院にも歯磨き粉を置いてますし、相談してみると良いでしょう。

歯科医院によりお勧めの歯磨き粉は違いますが、有名どころでしたらアパガードリナメルという歯磨き粉があります。

価格は高いですが、PMTCでも使える程の粒子の細かい良質な歯磨き粉です。

リステリンで歯磨き後にうがいをする

リステリンを使用する上で大前提となるのが、しっかりと歯磨きをしてから仕上げに使うものであるということです。

つまり、歯磨きもせずにリステリンでうがいだけしても全く意味がないということです。リステリンには種類がありますが、歯石予防に特化した種類があります。

リステリンはデンタルリンスですから「リンス」と付くだけに仕上げに使うものと覚えましょう。

歯ブラシとデンタルフロスや歯間ブラシを使用して、隅々まで清掃したら最後にリステリンを使い効果を最大限に引き出します。

デンタルリンスは様々なメーカーがありますが歯科医院としても、やはりリステリンをお勧めするところは多いです。

歯医者さんに定期的に通い歯石を除去してもらおう

歯石というものはいくら注意してても、わずかながらついてくるものです。一度歯石除去してもらったからといって安心せず、付きやすい方は特に定期的に歯科医院に行き除去してもらうということが重要になってきます。

歯冠部の歯石を除去してもらうときにかかる費用

歯冠部とは、健康な歯茎の状態で考えたときに歯茎から見えている歯の部分のことをいいます。

歯茎が下がると根が露出して見えてきますが、根は歯冠部とはいいません。

古くなった歯石は硬く取るのも一苦労ですし、長い間歯石により外部からの刺激を受けていなかった歯が歯石を取ることで一時的にしみる場合もあります。

基本的な歯石除去をスケーリングといいますが保険診療で一回に全ての歯の歯石除去を行うことは認められていません。

通常は上と下の歯に分けて取ります。保険適応で1回1,000円前後、自費診療では1回3,000~10,000円程度です。

歯周ポケットの歯石を除去してもらうときにかかる費用

歯冠部だけではなく、歯石が歯茎の中にまで潜り込み沈着したものを縁下歯石といいます。

黒くて頑固な硬い歯石で、根の方まで深く沈着している方を対象に行うルートプレーニングです。

根は柔らかく傷つきやすいので熟練の技が必要です。基本的には器具を用いて手で取りますが洗浄には専用の機械を使います。

費用は保険診療で 1 本につき200 円程度、自費診療では10,000 円以内が目安です。

歯肉切開をして歯石を除去してもらうときにかかる費用

更に歯の根の奥深くに歯石が沈着してしまい、歯肉の切開をしなければ器具が届かない場合があります。

この治療はフラップ手術と呼ばれ外科的手術になります。

手術といっても最低限の切開で、特に状態の悪い歯を対象にせいぜい1本~2本行う場合が多いですが口の中の全ての歯肉の切開をするわけではないので安心して下さい。

勿論、局所麻酔をした上で行います。

保険診療で 1 本 2,000 円程度、自費診療では保険適応外の治療と併用する場合も少なくないので10,000~100,000円近くになることもあります。

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